定山渓ダム目次
定山渓ダムについて
定山渓ダムとは、石狩川水系豊平川の支川と小樽川に建設された多目的ダムです。
昭和50年代、大規模な洪水が発生したことや、急激に増えた人口への対応策として、豊平峡ダムに次ぐ第二のダムとして昭和53年に着工、平成元年に完成しました。
定山渓ダムは、札幌市中心部より28.0km、近隣の定山渓温泉からは約2.0kmに位置しており、豊平川の総合開発の一環をなすものの一つとして挙げられます。
ダムが建設された役割と目的は3つあります。第一に、洪水調節、第二に、水道用水、最後に水力発電として機能させることです。
洪水調節の役割は、流域の安全確保の為に、川の水量を調節します。
それにより洪水被害を軽減させることを主な目的としています。
洪水を防ぐためには、堤防と堤防との幅を広げたり、川底を掘ったりする等の方法も実際はあります。
しかし、定山渓ダムの位置する札幌市には、すでに豊平川沿いに市街地が広がっていることや、地下鉄が建設されていること、さらには排水管も埋まっていることもあり、ダム建設以外での方法は取ることができない状況でした。
次に水道用水ですが、安定的にダムに貯水することで一年をとして安定的な水の供給を維持しています。
北海道の場合、雪解け水が流れ込む春においては水量もかなり多いのですが、北海道地域には梅雨がない為、夏に大幅に水量が減り、台風が多く発生する時期に再度水量が増えます。
つまり、一年を通してダムは絶えず暮らしを守る為に稼働しています。
そして10年に1度は発生する規模の渇水に対して、この定山渓ダムにはその安定供給に耐えうることができています。
そして最後に水力発電は、今注目されるクリーンエネルギーの一つで、二酸化炭素を排出せずに水の力を利用して発電する方法です。
水力発電は、高い場所から低い場所へと水を落とした水の勢いを利用して、発電機に繋がるタービンを回し、電気を生み出しています。
小樽内発電所では、最大出力はなんと7000kWの発電をしているそうです。(4人家族3,500軒分)
当時定山渓ダムを建設するにあたり、小樽内川沿には小樽と定山渓を繋ぐ小樽定山渓線が走行しており、定山渓ダム建設によって一部水没することから、ダム建設にあたっては保障付替道路の路線計画が行われました。
さらに、定山渓ダム事業に関連する区域は支笏洞爺国立公園や自然保護林など各種法令による規制対象の区域にもなっており、建設にあたって設立された環境アセスメント委員会では、4年にもわたり調査が実施され、先程上述した保障付替道路工事や環境影響の予測評価、また保全対策に関する検討が行われました。
定山渓ダムは重力式コンクリートダムとして、高さ117.5m、堤頂長410m、総貯水容量82.300千㎡、有効貯水容量78.600千㎡で直轄ダムとしては道内最大の規模を誇っています。
ダム内に貯めることができるこの貯水量は、札幌ドームの52杯分にも及びます。
また、高さ比較をしてみると、札幌テレビ塔が147.2m、百年記念塔が100mですので、それらの観光名所とおおよそ同じ高さになると想像していただければよいでしょう。
ところでこの重力式コンクリートダムですが、大量のコンクリートを用いることにより、ダムの自重で水圧に耐える形式のダムです。
- 定山渓ダム建設事業のあゆみは以下の通りです。
- 昭和46年4月 ダム建設の可能性調査開始
- 昭和49年4月 ダム建設に向けた調査開始
- 昭和53年4月 ダム建設工事着工
- 昭和55年9月 本体基礎掘削開始
- 昭和57年6月 本体コンクリート打設開始
- 昭和57年9月 定礎式
- 昭和63年6月 本体コンクリート打設完了
- 昭和63年11月 レイクライン供用開始
- 平成元年3月 水を貯めてダムの安全性確認開始
- 平成元年10月 竣功式
- 平成2年6月 ダム管理開始
続いて、ダムの名称の由来についてご紹介します。
ダムの名称は当初、ダムの川の名称からとった「小樽内ダム」と考えられていました。
しかし、定山渓付近の地元住民の強い希望により、のちに「定山渓ダム」という名称になりました。
また、ダム湖の名称に関しては、定山渓温泉街を挟んで向かい合う豊平峡ダムのダム湖の名称がすでに「定山胡」という名称になっていたことから、定山渓ダムのダム湖は「さっぽろ湖」という名称に一般公募から選出されました。
次に、定山渓ダムの管理体制についてご紹介したいと思います。
定山渓ダムにおいては、豊平峡ダムと同様に豊平川の上流部に位置することから、洪水調節や生活用水の確保の為に、2つのダムを共に利用しながら効率的に管理することが最も効率性の高い管理体制となります。
これらの条件により、定山渓ダムの管理体制には、豊平峡ダムと併合された豊平川ダム統合管理事務所が設けられています。
この統合管理事務所には、二つのデータに基づいて効率的なダム操作を、それぞれのダム管理支所に放流などを指示する役割を果たしています。
定山渓ダムの見どころ
定山渓ダムのみどころは、なんといっても四季折々の自然に触れることができる景勝地であることにあります。
色彩豊かな自然に囲まれる定山渓ですが、多くの人で賑わう時期は紅葉の時期といえるでしょう。
例年の見ごろは10月中旬から下旬にかけてで、悠々とそびえ立つ山々に囲まれた大自然を望むことができます。
ダム周辺は国立公園の一部に指定されていることもあり、壮大な大自然が広がる中に、ダムによって生み出されたさっぽろ湖が広がっています。
また、ダム下流には定山渓ダム下流園地としてきちんと整備がされています。
さらにダムを訪れる方に是非オススメしたいのが、ダムの中に設置されているトンネルの見学ができることです。
下流園地は公園として整備されており、この園地内にある4つの広場は、巨大なダムを下から見上げる高さ、放流口が間近にみられるダムの中間の高さ、ダムの全景がみえる高さの3つの層にあり、バリアフリー化された遊歩道で繋がっています。
最下層にあるシンボル広場まで進んでいくと、モニュメントが見れる他、そこから遊歩道を登った先には、広々としたピクニック広場につながります。
また、この広い芝生広場では先程ご紹介した定山渓ダム周辺の紅葉鑑賞ができ、ピクニックも楽しむことができます。
また定山渓ダムまでのドライブコースも大変おすすめです。
湖畔沿いには、定山渓温泉街から札幌国際スキー場を経由して小樽市の朝里川温泉街を結ぶ道路が走っており、定山渓レイクラインと呼ばれています。
筆者もこのドライブコースを紅葉時期によく行きましたが、紅葉をバッグに佇むさっぽろ湖の壮観な景色は、北海道の大自然が織りなす素晴らしい景色であり、圧倒されました。
定山渓ダムそのものへの魅力ももちろんのこと、ここへ向かうまでの道中から楽しませてくれるので、目的地がたとえ定山渓ダムでなくてもこの道通っていくことをオススメします。
さらに公園内には定山渓ダムに関する資料館もあります。
定山渓ダム資料館は期間限定と開館とはなりますが、5月下旬から11月上旬まで無料開放されており、ダム建設ゾーンと定山渓の自然ゾーンに分かれて様々な展示がされています。
当時の建設の様子や定山渓付近に生息する生物に関する標本などもあります。
また、2Fにはダムのはたらきについて学べるゾーンが展開され、ダムの存在意義についてわかりやすく学ぶことのできる施設となっています。
地球に負荷のかかるエネルギーを生み出す火力発電や原子力発電などの発電方法ではなく、地球に優しい持続可能なクリーンエネルギーである水力発電について、さらには水の大切さを知る貴重な機会となること間違いなしです。
定山渓ダムの周辺
定山渓ダム周辺には様々な観光スポットや定山渓ならではのグルメや日帰り温泉が多くあります。
まずご紹介するのが、「豊平峡温泉」です。
こちらは源泉かけ流しの日帰り温泉で、温泉も大変広々とした露天風呂で人気なのですが、温泉と同様に地元の方々に愛されているのが名物のインドカレー。このカレーを目的に訪れる人も多いので、ぜひ訪れた際にはカレーもご一緒にお楽しみください。
また、「心の里 定山渓」もオススメです。こちらは足湯を楽しめる施設となっており、手作りの茶菓子やドリンクを楽しみながら、足湯を利用することができます。
利用時間に制限もないので、足湯を楽しみながら定山渓の美しい自然の中でゆったりとした時間を過ごすことができます。
足湯でありながらカフェのように2名で利用できる席や複数人で利用できるスペースなど様々なスタイルで楽しめる為、連日多くの女性客やカップルに人気となっています。
またちょっとした休憩には「雨ノ日と雪ノ日」がオススメ!
ちょっと珍しい和風のピザや14種類のジェラートがある素敵なお店です。
あまり大きなお店ではないので、少し待ち時間がある時もありますが、ホットコーヒー無料などの嬉しいサービスも満点のお店です。
是非定山渓ダムに立ち寄った際のドライブ帰りにおすすめです。
定山渓ダムへのアクセス方法
最後に定山渓ダムへのアクセス方法についてご紹介致します。
住所:〒061-2301 北海道札幌市南区定山渓8区
定山渓ダムの直下にある為、ダム湖へ向かう場合はこちらから遊歩道を上がっていきます。
尚、遊歩道の階段はダム堤頂の歩道まで登り402段、下り58段あります。
電話番号:011-598-2513
営業時間:9:30~16:00 令和4年については、令和4年4月29日(金曜日・祝日)から令和4年11月3日(木曜日・祝日)まで。
定休日:月曜日(祝日の場合、翌平日を休館致します)
11月~5月上旬まで
※詳細はホームページ等で最新情報をご確認ください。
お車でお越しの方:国道230号から市道へ曲がり小樽方面へ進行、定山渓西2丁目交差点を右折し、約1.3km。
新千歳空港より約1時間15分 ※高速道路を利用した場合
札幌駅より約50分
駐車場:無料
バスでお越しの方:じょうてつバス「定山渓大橋」で下車、定山渓西2丁目交差点方向を進行し、約1.7km。「定山渓大橋」より下車徒歩20分
バスでお越しの場合、最寄りの下車駅からかなり距離がある為、あまりおすすめは致しません。
タクシーでお越しの方:札幌駅より約9000円程度。タクシーなどを利用される予定の方は、札幌駅周辺でタクシーをつかまえることをオススメします。
定山渓ダムへはあまりアクセスがいいとは言えません。
レンタカーなどを利用するなどして、乗用車で現地へ向かわれることをおすすめします。
是非定山渓ダムまでのドライブコースを楽しみながら足を運んでみてくださいね。